冷静と情熱が混じる神秘の花色。紫のバラの紹介|50種類以上から選んだお勧め品種

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は、情熱をあらわす赤色と冷静をあらわす青色が混じりあうことで生まれます。どことなく神秘的な雰囲気を帯びる紫色は、古くから王侯・貴族が身にまとう高貴な色合いとして見なされてきました。

紫はまた、我々に備わる五感のうち“触れること[=触覚]”と最も関係の深い色味ともいわれています。ミステリアスさを感じさせる色味が神秘の癒し・ヒーリングなどの超常的な“なにか”をのぞむ人々の願いに触れるからなのかもしれません。

本稿は、冷静と情熱の色が混じりあうことで生まれる神秘の色、紫系統のバラのなかから育てやすいおススメ品種を紹介します。

 

おススメの紫色のバラ

広い意味の紫系統のバラから選んだお勧め品種を紹介していきます。樹形に着目した分類ではなく、色に着目した紹介です。

ご覧いただく写真の下部に、目安として「超・初心者」、「初心者」、「中級者以上」、「上級者」の4つの記載と、その品種の特徴についての管理人のコメントを付けています。

なお、本稿ではいわゆる“ブルー系統”とされる花も扱います。バラ界にいうブルー系統の色味は、一般的な感覚での紫色の範疇に入る色味が多いためです。

 

グラン・ブルー〈木立ち性|ハイブリッドティー〉

ラベンダー色の剣弁高芯咲きのバラ「グラン・ブルー」の花姿。

目安:中級者以上|ひと言メモ:深みのあるラベンダー色に入る赤色がアクセント。

 

ラベンダー色の剣弁高芯咲き、「グラン・ブルー」。

※「剣弁」や「高芯」などの花の形についてはこちら。

⇒ 花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き

美しい花色ながら耐病性に難のあった「マダム・ヴィオレ」を親にもち、親よりも耐病性が強くなった子にあたる品種。マダム・ヴィオレとの明らかな違いは花びらの外弁にはいる赤み。樹形も直立に育つ。

ただし耐病性が強化されたとはいえ、全体としてみれば「普通」程度の耐病性になるので薬剤散布が必要。

香りはほぼない。

開花サイクルは四季咲き。

なお、 ハイブリッド・ティーってなに?|新時代を開いた現代バラ誕生の物語 でハイブリッド・ティー系統の特徴やバラ界における意義について説明しています。ご覧いただくと一層ハイブリッド・ティーのバラが楽しめるようになります。

 

しのぶれど〈木立ち性|フロリバンダ〉

青みの強い藤色のバラ「しのぶれど」の花姿。

目安:初心者|ひと言メモ:枝が横に暴れず半直立に成育するので鉢で育てるのに向いている。

 

青みの強い藤色の丸弁カップ咲き、「しのぶれど」。

思わず目を引くこの花名は、三十六歌仙の一人、平兼盛の和歌に由来するとのこと。

うどんこ病と黒星病の両対病性がともに「普通」程度なので薬剤散布が必要。ただし無消毒でも案外と生き残る。

後記のブルー・ムーンほどではないものの「ブルー」系の強い芳香がある。

開花サイクルは四季咲き。

なお、 フロリバンダってなに?|枝先がブーケのように咲くバラの楽しみ方 でフロリバンダ系統の特徴を紹介しています。ご覧いただくとより一層フロリバンダのバラを楽しめるようになります。

 

センティッド・エアー〈木立ち性|フロリバンダ〉

ラベンダー色にやや赤みがはいったバラ「センティッド・エアー」の花姿。花が4輪とつぼみが2つ写っている。

目安:中級者以上|ひと言メモ:施肥・水やりで少し気難しい品種ながら育ててみる楽しみが凝縮された素晴らしい香りがある。

 

ラベンダー色ではあるが全体にやや赤みが増した色合いの丸弁平咲き、「センティッド・エアー」(芳香に満ちた空間、の意味)。

花名のとおりの強い芳香が特徴。

うどんこ病と黒星病の両対病性がともに「普通」程度。薬剤散布が必要。

開花サイクルは弱い四季咲き。

 

チャールズ・レニー・マッキントッシュ〈シュラブ〉

ライラック色のカップ咲きのバラ「チャールズ・レニー・マッキントッシュ」の花姿。

目安:中級者以上|ひと言メモ:コンパクトにとどまるので鉢植えに向く。

 

ライラック色(明るい紫色)のカップ咲き、「チャールズ・レニー・マッキントッシュ」。

イングリッシュ・ローズの紫系品種。花つきは良いが花もちはいまいち。

うどんこ病と黒星病の両対病性にともに「やや弱い」ので薬剤散布が必要。

強くはないが香りがある。

開花サイクルは四季咲き。

なお、 シュラブってなに?|多様・多彩なバラの個性が集まるシュラブ樹形の魅力 でシュラブ樹形の特徴と魅力を紹介しています。ご覧いただくとより一層シュラブ樹形のバラを楽しめるようになります。

 

ブルー・ムーン〈木立ち性|ハイブリッドティー〉

藤色のバラ「ブルー・ムーン」の花姿。

目安:中級者以上|ひと言メモ:広く名の知られた有名なバラだが初心者向きとは言い難い品種。詳しくは下記の栽培実感をご覧ください。

 

これまで“いわゆる青バラ”の代名詞的な品種と評価されてきた半剣弁高芯咲きの「ブルー・ムーン」。

耐病性はうどんこ病、黒星病ともに「普通よりも弱い」ので薬剤散布が不可欠の品種。また、施肥についてもひとクセがある。

最大の長所は非常に強い芳香で、「ブルー」と分類される濃い甘さがある。

開花サイクルは四季咲き。

ブルームーンは木立ち性とつる性の2タイプがあり、四季咲き性タイプは木立ち性で、つる性のブルームーンは返り咲き。

詳しくは かつて青バラと呼ばれた香りのバラ[ブルー・ムーン]の栽培実感 をご覧ください。

 

ノヴァーリス〈木立ち性|フロリバンダ〉

藤色のバラ「ノヴァーリス」の美しい花姿。[撮影:花田昇崇]

目安:超・初心者|ひと言メモ:本稿で紹介する紫の品種のうち最も育てやすい品種。

 

いわゆるブルー系統のなかで最強の呼び声が高いのが「ノヴァーリス」[カップ咲き]。

うどんこ病と黒星病の両耐病性に強いため、病気対策のための薬剤散布を考える必要はあまりない。

あっさり爽やかな「ティー」系の強い芳香も魅力。

詳細は 初心者必見!4基準から導くおススメの『木立ち性』バラ10選 の「ノヴァーリス」の項で説明しています。

 

ライラック・ビューティー〈木立ち性|グランディフローラ〉

ラベンダー色の丸弁高芯咲きのバラ「ライラック・ビューティー」の花姿。

目安:中級者以上|ひと言メモ:大きく育つので地植えがよい。

 

ラベンダー色の丸弁高芯咲き、「ライラック・ビューティー」。

強い香りが素晴らしく、典型的なダマスクの香りに甘いフルーツの香りが混じる。

うどんこ病に「やや強く」、黒星病は「普通」程度ながら樹勢が強いので薬剤散布せずともなかなかやられない。

開花サイクルは四季咲き。

 

[以上、五十音順]

 

紹介した品種のうち育てやすい品種は?

紫・藤色系統(巷でいう青バラ系)は総じて病気に弱い品種が多く手のかかるバラが多いのが実情です。そのなかで育てやすい品種について紹介しておきたいと思います。

1位:ノヴァーリス

最も育てやすいのはまず間違いなくノヴァーリス。長所が多い品種でノヴァーリスがおススメです。

2位:しのぶれど

「消毒をしなくても大丈夫」と言いきることはできませんが、樹勢が強いこともあり、紫・藤色系統のバラの中ではまずまず育てやすいと思います。

 

もしあなたがバラを育てることが初めてなら、紫・藤色のバラは上記2品種あたりが育てやすくておススメです。

 

本稿で紹介しているバラの色合い

紫の色合いの区分はなかなか難しい面があり、赤と青のどちらかに傾くことにより赤紫~青紫まで色味に幅があります。

本稿で紹介してきた紫のバラは、以下の

  • 藤色
  • 青みがかある藤色
  • ラベンダー色
  • ライラック色
  • 従来ブルー系統といわれる色

などを扱いました。

赤紫については本稿ではなく、下記の赤バラの記事で扱っています。

 

その他の色合いの品種はこちら

ご覧いただいてきた紫のバラ以外もまとめています。

  • 赤バラ

おススメの赤バラ|200種類以上から選んだお勧め品種

  • 白バラ

おススメの白いバラ|200種類以上から選んだお勧め品種

  • 黄バラ

交錯する愛憎の花言葉。黄色のバラの紹介|100種類以上の黄色系統から選んだお勧め品種

  • オレンジのバラ

絆の花。オレンジのバラの紹介|100種類以上から選んだお勧め品種

  • ピンクのバラ

美と幸せの花色。ピンクのバラの紹介|400種類以上から選んだお勧め品種

  • アプリコットのバラ

『後日掲載予定』

 

バラを育ててみたいと思ったら

バラを育ててみたいと思ったあなたの手引きとなるのが バラ初心者の品種の選び方。あなたに最適なバラを探す4基準 という記事です。

あなたの環境や好みにあった最適なバラを探すための道案内をしています。

 

補足:紫のバラの花ことば

最後に、紫のバラの花ことばについて紹介しておきます。

  • 尊敬
  • 気品
  • プライド

の3つが代表的な花ことばです。

目上の方や憧れの対象、そして自負心について用いるケースが想定される花ことばが並んでいます。冒頭でふれた王侯・貴族が好んできた歴史の名残りもあるのかもしれませんね。

 

兵どもが夢のあと?夢の青バラへの挑戦はつづく

じつは紫のバラの作出の歴史は「青バラ」の作出を目指してきた過程そのものでした。

「存在しない色は存在しない」といわれるバラの色合いですが、そのなかで唯一存在しない色合いが「純粋な青色」です。植物としてのバラは青の因子(色素)が存在しないのがその理由で、このため青バラの花ことばも元々は「不可能」でした。

生来、人間には翼が与えられていないのと同様に、バラにも青の翼は与えられていなかったわけです。バラの作出の歴史において、どれだけ真実の青に近づけるかが世界中の育種家の大きな目標でもありました。

さて21世紀に入り、他の植物(パンジー)の遺伝子をバラに組み込むことで「純粋な青色」のバラが誕生しました。これまでのバラ界におけるいわゆる青系(=実際には紫に近い)バラとは明らかに異なる、目が醒めるほどに深い文字通りの青色です。翼の生えた人間の誕生に似た意味をもつ青バラの誕生です。

他方で、パンジーによらない青色のバラが果たして実現するのかどうか。遺伝子組み換えによらない方法では青バラは依然として夢のままであり、夢のあとではありません。青へと至る育種家の挑戦はまだまだ続いています。

 

本稿のまとめ

さて、いかがだったでしょうか。

本稿では紫のバラを紹介してきました。紹介数については今回の投稿内容で完結ということではなく、今後も適宜入れ替えや追加を行い、徐々に品種数を拡充していきたいと考えています。

定期的に本稿をご覧になられると新しい発見があるかもしれません。

本稿が皆様のより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活をはじめませんか?

 

写真・記事の無断掲載・転載を禁止します。

Sentence/All photos:花田昇崇

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