おおらかにつきあえる再生のバラ[レオナルド・ダ・ヴィンチ]の栽培実感

ローズ色のバラ「レオナルド・ダ・ビンチ」が画面いっぱいに咲き誇る花姿。20輪以上写っている。[撮影者:花田昇崇]

14世紀以降のイタリア、ルネサンス期に活躍した万能の天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の名前を知らない人はいないでしょう。この天才の名前が与えられた同名のバラ「レオナルド・ダ・ヴィンチ」は、たしかに育てやすい強健な品種です。

バラらしいローズピンクの花色抜群の花つき・花もちで作る美しい景観など外観上の美しさはもちろん、耐病性の強さもそれなりに備えた初心者向きの品種です。

短所の1つは四季咲き性が弱い[返り咲き]点で、秋の開花数が少なめです。しかし、ここではむしろこれを長所ととらえて見ませんか?秋の少なさには寛容になって、春の一季咲きのつもりで付きあってみるのはどうでしょうか。

そうすることでバラ栽培につきまとう消毒に心を煩わされることなく、おおらかな気持ちで純粋にバラを楽しんでいた昔のご自身を改めて再発見[再生=ルネサンス]することができる品種なのだと感じます。ほぼ無消毒で育ててみませんか?きっと大丈夫。それができる強さをもっています。

本稿は、育てはじめた当初のおおらかな気持ちを再発見[再生]して付きあえるバラ「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の栽培実感です。

 

8分咲きの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の花の中心部を拡大した写真。

 

品種の情報

4基準データ

  • 花色 : 濃いローズ(ミディアムピンク)
  • 芳香 : ★☆☆☆☆☆ (無香~微香)
  • 耐病性 : ★★★★☆☆ (うどんこ病「普通よりも強い」|黒星病「普通よりも強い」)
  • 樹形 : 木立ち性・フロリパンダ

※4基準とはバラ入門者の方がはじめてのバラを選ぶうえでの指標となる4つの判断基準です。さまざまにある選択要素のなかから最も重要な4つの基準を紹介しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

バラ初心者の品種の選び方。あなたに最適なバラを探す4基準

フロリバンダってなに?|枝先がブーケのように咲くバラの楽しみ方

 

補足基準データ

  • 花つき : 抜群に良い
  • 花もち : 抜群に良い
  • 花形 : カップ咲き
  • とげ : 無数の鋭くふといとげ
  • 耐寒性/耐暑性 : 普通(冬:普通/夏:普通)
  • 花径 : 9cm(中輪)
  • 樹勢 : 強い
  • 開花サイクル : 返り咲き
  • 作出 : 1993年.フランス
  • 原名 : Leonardo de Vinci

※「カップ咲き」をはじめ、バラの花形にはさまざまなものがあります。

⇒ 花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き

※補足データは4基準に準じる2次的な基準です。4基準ほど育てやすさに直結するものではありませんが個々の花の個性を形づくる情報です。

 

ローズピンクのバラ「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が咲き誇る写真。

 

外観上の特徴

レオナルド・ダ・ヴィンチは返り咲き品種で、春は多くの花をつけますが秋の開花数は少なめです。

つぼみの様子

「レオナルド・ダ・ヴィンチ」のつぼみと葉。

 

開花の様子

開花の様子はこちら。開きたては赤色です。

つぼみが開いた「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

 

その後はローズピンクの色味が広がります。

6分咲きの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

 

花色

開ききるとローズピンクの色味のカップ咲きの花形に。

8分咲きの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が無数にうつっている。

 

このバラの特徴の1つは、カップ咲きの花形が大きく崩れることなくこの形のまま色が退色して散っていくことです。

4つ見えるうち左側が散り際のサイン。

4輪写った9分咲きの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

カップ咲きのままはらはらと舞い散る。

 

このようにややうつむき気味に咲いていることが多い

下を向いて咲いている「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

 

花びら・雨への強さ

花びらは比較的かたくしっかりしています。

このバラは雨に強いと言われていますが、具体的な痛み具合は下の写真をご覧ください。

風雨を受けて花びらが痛んでいる「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

露地で、かつ完全無農薬で育てている花の損傷具合。[撮影:6月末の梅雨シーズン]

 

花つき

の花つきが抜群に良いです。

下の写真の状態で、接ぎ木3年くらいです。株が充実するにつれて年々花付きがよくなります。

100輪近くが写っているバラ「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が満開の写真。

事務所で植えたもの。前年度もほぼ消毒をしていないが春はこのように咲く。[前年度に1度散布したのみ。]

 

花もち

水滴を受けている「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

抜群に良い花もちです。

気温にも左右されますが、1週間以上咲いています。この花もちの良さは嬉しいですね。

なお、花もちはよいですが、ステム[枝]が短いので切り花には向きません。切り落とさずそのまま鑑賞するのに向いています。

 

香り

無香」~「微香です。ほぼわからないレベルです。

香りがないのが悔やまれます。香りさえあれば総合的に見てより高い水準のバラになり得たのではないかと思われて残念でなりません。

 

葉の様子

ワックスがはいった照り葉です。

消毒をまったくしなくても梅雨どきまでは比較的綺麗な状態を保てます。

無消毒の場合には夏あたりから落葉がはじまります。

もっとも、すべて落ち切るということはなさそうです。落ちる葉がある一方で、新しい葉も展開されてきます。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の葉
大量の水滴が付着した「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の葉

薬剤コーティングで補強をしない限り、夏以降はダメージが蓄積して葉が激減する。

 

育てやすさについての私の実感

耐病性

バラはさまざまな病気にかかり、品種を問わず最も頻繁にかかるのが「うどんこ病」と「黒星病」の2つの病気で、これらは「バラの2大病」と呼ばれています。

この2大病の耐病性は「普通よりも強い」品種です。

詳細を見ていきます。

うどんこ病への耐性

うどんこ病への抵抗力が「普通よりも強い」品種です。

[※表記の参考:普通 < 普通よりも強い < 強い < かなり強い]

地植えして、枝を伸ばして誘引して育てていくのが通例です。風通しの良い場所で育てているケースが多かろうと思われます。

風通しが良い場所で育てていれば「普通よりも強い」耐病性のこのバラはそれほどうどんこ病を気にする必要はないと感じます。

黒星病への耐性

黒星病への抵抗力が「普通よりも強い」品種です。

[※表記の参考:普通 < 普通よりも強い < 強い < かなり強い]

「普通よりも強い」クラスの耐病性だと梅雨シーズンか、夏場には黒星病を発症する場合が多いでしょう。黒星病によって葉を落とさないためには前もって予防のための薬剤を定期的に散布すること、感染した場合には治療薬を散布して早めに対処すること。これが本来の対処法です。

ただし、冒頭で、そして詳しくは後述しますが、ダヴィンチは一季咲きのように育てるのがおススメのため、あまり黒星病に対して敏感に対処しなくてもよいのではないかと思います。葉を落としても急激に枯れ込むことは少ないのでおおらかな気持ちで眺めて差し支えないのではないかと思っています。

抵抗力まとめ

ご覧のように2大病のうどんこ病・黒星病ともに「普通よりも強い」抵抗力を備えています。

耐病性が抜群に強いというほどではないものの病気にかかりづらい品種と言えます。

 

樹勢

とても強い」樹勢です。

欧米での分類は木立ち性に分類される「フロリパンダ」と登録されていますが、日本では木立ち性として育てるのはあまり適しません。

樹勢の強さを生かしてつるバラのように扱うのがよく、そうすることで本稿で掲載しているように多くの枝に花を咲かせます。

 

とげの具合

たくさんの鋭くふといとげがあります。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の鋭いとげ。

 

栽培のコツ

ふとい枝と凶悪なとげのため誘引が大変。女性には少し重労働。男性向き

このバラは鋭くふといとげが無数にあります。そして枝も太くかたいので冬の剪定作業や誘引作業が重労働になりがちです。

剪定や誘引時には男性の手を借りたいものです。

新苗のときは薬剤散布が必要

新苗のときは薬剤散布をするのがよいでしょう。

成株になったら省略することができます。

 

葉に隠れて上が見えない「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

 

適する栽培方法

地植えでも鉢でもどちらでもこのバラを育てることは可能です。

ただし、このバラの真価を発揮させるには地植え一択と思われます。

もしも鉢で育てるとすれば短く切り詰めて育てることになると思います。しかし、もしそのように育てたいのなら木立ち性の他の違うバラを育てればよいと思われます。

旺盛な樹勢で長く枝を伸ばそうとするダヴィンチをその都度切り戻して生長を抑え込みながら強いて鉢で育てる必要性を感じません

なお、3年ほど前にご覧のように鉢でつるバラのように育てたことがあります。やはり地植えの見事さには及びようがありませんでした。

ダヴィンチは地植えでいきましょう。

大鉢に植えた「レオナルド・ダ・ビンチ」

これはちょっと浅植えがすぎました。反省を込めて。

 

私のおススメの付きあい方

一季咲きのつもりで無消毒で育てたい

一般的な返り咲きのバラと同じように育てることができるダヴィンチですが、おススメは一季咲きのつもりで無消毒で育てることです。

葉の様子で紹介したとおり、消毒をしなければダヴィンチは生育期の途中で葉を落とします。本来であれば葉をなるべく残すように消毒を促すのが通例です。

ですが、ダヴィンチは四季咲き性が強くないのでもともと秋の花数は少なめという特徴があります。[返り咲き]

そこで、本稿の冒頭でもお話ししましたように、いっそのこと秋の花のことは考えず、一季咲きのつもりで育ててみるのがおススメです。こうすることで夏以降に葉を落としても消毒のスケジュールを考える手間をなくすことができる、または、大きく減らせます。

肩の力を抜いてバラと向き合うことができますし、とてもラクです。

この方法は株が充実してからスタート

「夏に多くの葉を落として大丈夫?」と心配されるかもしれませんね。不安はもっともです。

もちろんこれは株の充実具合を見てからスタートする必要があります。

たとえば接ぎ木1年の新苗で無農薬はさすがにいけません。幼すぎる株では生き残るパワーをうみだせないからです。

そこで、このおススメの育て方ができるのは株が充実してくる接ぎ木の2年目以降のダヴィンチとお考え下さい。[挿し木だったら3~4年目以降]

株が充実したダヴィンチであればやすやすと枯れ込むことはあまりありません。

このバラとはこのように付き合うのが私のおススメの育て方です。

 

ローズピンクのバラ「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が咲き誇る写真。

 

結論:育てやすいか?のまとめ

  • 2大病の耐病性がともに「普通よりも強く」て病気への抵抗力をそれなりに備えている
  • 葉を落としてもすぐに枯れ込まない強健さを備えている
  • 返り咲きの点をむしろ長所ととらえ、秋の花数には目をつむる
  • 地植えする。株が充実した以降は消毒スケジュールをほとんど考えなくてすむ

この4点を意識しましょう。

地植えして株が充実したあとは秋の花数に目をつむることでバラの世話につきっきりになることなく純粋にバラを楽しむことができます

初心者が投げ出さずに育てていきやすい1つの考え方だと思います。

レオナルド・ダ・ヴィンチはこれができるバラです。初心者向き]

 

無数に開花した「レオナルド・ダ・ヴィンチ」のなかで4輪をフォーカスした写真。

 

本稿のまとめ

さて、いかがだったでしょうか。

ローズピンクのバラ「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の栽培実感を紹介しました。

本稿がより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活をはじめませんか?

 

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レオナルド・ダ・ビンチの栽培/Sentence/All photos:花田昇崇