―「赤色のバラを育ててみたいな。」とお考えのあなたへ。―
本稿は、色(カラー)に着目した品種の紹介です。200種類以上の赤色のバラのなかから育てやすさ[≒耐病性]や人気度を加味して選んだおススメしたい赤色系統のバラです。
これから紹介するなかに、あなたにピッタリの赤バラが見つかるのではないでしょうか。
目次
紹介している赤バラ
本稿で紹介する赤バラは、
- 赤色
- 赤黒
- 赤紫
- 朱色
などの“広い意味での”赤系統を紹介しています。
おススメの赤系統のバラ
約200品種の赤色系統のバラのなかから選んだおススメの赤バラを紹介していきます。本稿は、樹形別の分類ではなく、色(赤系統)に着目した紹介です。
[ご覧いただく写真の下部に、育てやすさの目安として「超初心者」、「初心者」、「中級者以上」、「上級者」の4つのどれかと、その品種の特徴について管理人のコメントを付けています。]
アンクル・ウォルター<クライミング>
1963年作出と少し古い品種ながら長く愛されている赤のクライミングローズ。
肉厚で光沢のある花びらが特徴的。花形は剣弁高芯タイプ。
※「剣弁」や「高芯」をはじめとするバラの花形にはさまざまなものがあります。
⇒ 花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き
アンクルウォルターは生育旺盛で、地植えにすれば大きく成長して多くの花をつけるようになる。ただし香りは微香程度と強くはない。
よく施肥管理をすれば枝が大きくなり、とげも多めなので誘引には注意されたい。
イギリスで作出された本品種の分類はハイブリッドティーとされているが、本国イギリスと比較して温かい日本ではクライミングとして扱われている。
開花は春が中心で、春以降は数が少ないものの開花する。[返り咲き]
ウィリアム・シェークスピア2000<シュラブ>
イングリッシュローズの人気品種より「ウィリアム・シェークスピア2000」。
花色は単調な赤一色ではなく、赤に黒・紫が混じり、深みを感じる複合色。夏はやや色が薄くなる。
強いダマスクの香りを楽しむことができる香りのバラ。
花つきが良いので次々とつぼみをあげてくる。
耐病性[うどん粉病|黒星病]はともに「普通」程度なので、必須とまでは言わないものの、薬剤散布をしておけば安心。
開花サイクルは四季咲き。
なお、 シュラブってなに?|多様・多彩なバラの個性が集まるシュラブ樹形の魅力 でシュラブ樹形の特徴と魅力を紹介しています。ご覧いただくとより一層シュラブ樹形のバラを楽しめるようになります。
オデュッセイア<シュラブ>
ロサオリエンティスの「オデュッセイア」。
花色よし、香りよし、対病性もほどほどに強く初心者の方にも育てやすい品種です。
※ その花色に魔性が宿る。バラ[オデュッセイア]の栽培実感 で詳しく紹介しています。
クリムゾン・スカイ<クライミング>
クライミングローズ(つるバラ)として扱う「クリムゾン・スカイ」。[LCI]
花色は花名のままにクリムゾン[=濃く明るい赤色]。花色は退色しない。
樹勢が強く、また夏にも強いので年間を通してよく成長する。花つきと花もちも良いので建物の壁面やアーチなど広域を飾るのに向いている。
ただし、香りはあまりしない。
開花サイクルは弱い四季咲き。[返り咲き~四季咲き]
ザ・ダーク・レディ<シュラブ>
イングリッシュ・ローズの赤系品種中の最高傑作のひとつと言われるのが「ザ・ダーク・レディ」。
ロゼット咲きの大輪[花径:約11cm]の花。春は写真のように一枝に房になって咲く。数多く咲きそろいながら、かつ一輪ずつが玉のような大輪の美しい花を咲かせる。
反面、先端付近の枝の細さのわりに花が重くなるためうつむき加減に咲く。ただし主枝はしっかりと太く育つ。
開花サイクルは四季咲き。
ジークフリート<木立ち性|フロリバンダ>
2019年、管理人イチオシの至高の赤バラ「ジークフリート」。
ノックアウトシリーズに比肩するほどの病気への耐性を備え、しかも高い熱耐性も兼ね備えているさまは、まさに「ニーベルンゲンの歌」に登場する英雄さながら。
美しい照り葉は灼熱の真夏であっても輝きを失わない。
2016年・2017年・2018年の3年間、管理人が探し続けてきた日本の厳しい夏に負けない赤バラの最高峰。
今はさほど有名ではないかもしれないが、当サイトをきっかけに有名になって欲しいと管理人が強く願っている品種。
開花サイクルは四季咲き
※ [ジークフリート]の栽培実感 の公開を予定しています。[執筆中]
なお、 フロリバンダってなに?|枝先がブーケのように咲くバラの楽しみ方 でフロリバンダ系統の特徴を紹介しています。ご覧いただくとより一層フロリバンダのバラを楽しめるようになります。
スカーレット・メディランド<シュラブ>
分類上はシュラブ[S]だが、国内ではクライミング[つるバラ]として利用できる「スカーレット・メディランド」。
家の壁面やフェンスなどに誘引してクライミングとして扱うのが向いている。株に力がつけば写真のように一面を朱色に染め上げる。
花は小さくて可愛らしいが、小さい分だけ香りは少ない。
定期的な薬剤散布をしないと病気にかかるが、樹勢が強いためやられづらい。
開花サイクルは弱い四季咲き。[返り咲き~四季咲き]
フォール・スタッフ<シュラブ>
イングリッシュ・ローズのレッド系・パープル系品種中で最高傑作ともいわれているのが「フォール・スタッフ」。
花色は深紅から徐々に薄いパープルへと変化していく。
大輪を咲かせる品種であり、かつ香りもほどよく強い。
クォーターロゼット咲き~シャローカップ咲きになる花形が特徴的。春は房咲き。
開花サイクルは四季咲き。
ニグレット<木立ち性|ハイブリッドティー>
1934年作出の古いハイブリッド・ティー「ニグレット」は古典的な黒バラの1種類。赤みが強いのは春に撮影したためで、秋には黒みを増して黒バラとなる。
ハイブリッド・ティーとしては珍しく中輪。しかし弁質が厚いので花びら一枚々〃に豪華さがある。
香りは中程度のダマスク香。
開花サイクルは四季咲き。
なお、 ハイブリッド・ティーってなに?|新時代を開いた現代バラ誕生の物語 でハイブリッド・ティー系統の特徴やバラ界における意義について説明しています。ご覧いただくと一層ハイブリッド・ティーのバラが楽しめるようになります。
ベルサイユのバラ<木立ち性|ハイブリッドティー>
ベルサイユのバラシリーズより、魅力的な重厚な光沢と濃赤系の「ベルサイユのバラ」。
際立つのは花もちの良さで、季節により1週間ほど咲き続ける。ただし暑さには強くないので高温時には形が崩れる。[写真参照]
香りはほぼない。[せいぜい微香]
樹勢が強くてよく生長することもあり、薬剤散布をせずに黒星病でやられたという話を聞かない。[黒星病への耐性:「普通」]
開花サイクルは四季咲き。
ポンデローザ<木立ち性|フロリバンダ>
中輪よりも少し小さな花をたくさん咲かせる朱色のフロリバンダ「ポンデローザ」。
花は小さいが樹形が強いため株自体は大型化しやすい。株に力がつくと周囲の目を引く見事なバラのカーペットが出来上がる。
香りはあまりない。[せいぜい微香]
開花サイクルは四季咲き。
ローズ・オオサカ<木立ち性|ハイブリッドティー>
緋色に近い鮮やかな赤色の「ローズ・オオサカ」。
バラらしい整った剣弁高芯咲きの大輪花。
写真の背後に蕾が見えるが、先端が房になりやすいため 側蕾 が有効。
鉢でも地植えでもいずれでも良いが、地植えだと左右に広くスペースが必要になる。
開花サイクルは四季咲き。
ロッティリア<シュラブ>
軽やかさと深みのある色合いが同居するローズレッドのシュラブ「ロッティリア」。
あまり手間暇をかけなくても育つ優秀なシュラブのため初心者にもおススメ。
多くの花をつけるが残念ながら香りはほとんど感じない。[無香~微香]
開花サイクルは四季咲き。
ルイ14世紀<オールドローズ(ハイブリッド・パーペチュアル)>
オールドローズの「ハイブリッド・パーペチュアル系統」より、古き黒バラの「ルイ14世」。
約150年前の古い品種だが花色や香りについては古さを感じさせない。
もっとも耐病性や強さは現在の品種と比べれば大きく劣るので栽培の難易度は高くなる。
開花サイクルは四季咲き。
四季咲きオールドローズをお探しのあなたはぜひ。
ルージュ・ロワイヤル<木立ち性・ハイブリッドティー>
濃赤色の「ルージュ・ロワイヤル」。
典型的なハイブリッドティーでステムが長く、その先に一輪の花を咲かせるため切り花に適する。しかも香りは強香。
ロゼット咲きの大輪花で、ロゼット咲きタイプの切り花観賞の楽しさを教えてくれた私の思い出の品種。
定期的な薬剤散布が必要だが、ぜひ育てることに挑戦してみて欲しいイチオシ品種。
開花サイクルは四季咲き。
[以上、五十音順で紹介]
その他の色合いの品種はこちら
ご覧いただいてきた赤バラ以外もまとめています。
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『後日掲載予定』
バラを育ててみたいと思ったら
バラを育ててみたいと思ったあなたの手引きとなるのが バラ初心者の品種の選び方。あなたに最適なバラを探す4基準 という記事です。
あなたの環境や好みにあった最適なバラを探すための道案内をしています。
本稿のまとめ
さて、いかがだったでしょうか。
10品種以上の赤バラを紹介してきました。紹介数については今回のもので完結ということではなく、今後も適宜入れ替えや追加を行い、徐々に品種数を拡充していきたいと考えています。
定期的に本稿をご覧になられると新しい発見があるかもしれません。
本稿が皆様のより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活を始めませんか?
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バラの栽培/Sentence/All photos:花田昇崇