夏場[7月の梅雨明けから9月末]は鉢バラへの水やりを最も本格的に行わなければならない季節です。
そうはいっても行事の多い季節ですからつきっきりで毎日水やりをするのもなかなか難しいですよね。「もしかしたら鉢バラが水枯れ!?枯れちゃったの!?」・・・こんなケースが多発するのは夏場です。
本稿は、慌てる前に知っておきたい水枯れ症状からの鉢バラの回復方法を紹介しています。
目次
水枯れからの鉢バラ復活方法
水枯れが問題になるのはおおむね夏場に「鉢」植えのバラ[鉢バラ]に生じます。
- 水枯れは夏の高気温環境で生じやすい
- 鉢バラで生じる
ということです。
夏場の鉢内は厳しい高温環境となるため水不足が起こりやすくなり、また、株本体も厳しい日差しや熱風を受けて水分を失いやすい環境にあります。
これについての理由と対策は 夏の鉢バラの水やりのメルクマール|灼熱の季節を乗り越える視点 で詳しく説明しています。
他方で 知っておきたい地植えのバラの水やり|「水量」と「頻度」 で説明している通り地植えの夏の水枯れは限定的な場合でのみ生じます。
水枯れ|初期
発見が早ければ簡単に回復する
以下の写真をご覧ください。
本来は直立しているはずの枝ですが、最敬礼のお辞儀をこえるほどに深く折り曲がっています。

水枯れ症状に陥ったバラの新苗
このように枝の先端近くがくたっと折り曲がる状態が水枯れの症状です。枝の先端部分が水分不足を起こすことによりこのようになるわけです。
水枯れ症状は、結論からいえば初期段階で対処してあげれば枯れることはありません。
初期段階かどうかの目安は、水枯れで曲がっている枝の葉が乾燥しきっていない状態です。上の写真では葉がしおれていることがわかりますが、乾燥してちりちりになるまでには至っていません。
このような初期段階であれば問題なく復活させることができます。
[水枯れが進んだ中期段階でも適宜剪定を加えることで復活できます。(後述)]
水枯れが起きる理由と初期症状の復活方法
そもそも水枯れは、
- 光合成による水分の使用や気温・風による蒸散。鉢内環境の悪化[高温化に伴う根の傷みや乾燥]
と
- 水やりで与える水量と頻度
これらのバランスがとれていないことで起こります。
初期の症状を治癒させるためには、「①水を失わせる原因を改善すること」と「②水を補給すること」が水枯れからの復活方法です。
水枯れからの回復
現に水枯れを起こしている場合には即座に改善させなければいけませんから以下のように行いましょう。
- すぐに鉢ごと日陰に移動←光合成させない
- 株元はもちろん葉裏にもたっぷり水やり←水の補給と株のクールダウン
- 落ちついたら適度に風が流れる日陰で養生させる←適度な風であれば葉の水滴を飛ばすのに役立つ。葉が長く濡れたままだとそれも良くない
このようなシンプルな対処で水枯れは改善します。早期回復のコツは、水をあたえた上で光合成を行わせず、蒸散もなるべく防ぐことです。

暗い場所で濡れ新聞などで株全体を覆ってやるとなお回復が早いです。ものの1時間でシャキッとします。

水枯れから復活した後の管理
一度水枯れになった株はやはり弱ります。
数日間は日陰や半日陰の環境で養生させてあげるのがバラに優しい方法です。

もう一つの水枯れの新苗[初期症状]

このように復活する。
水枯れ―中期
枝がしなびて葉がちりちりになっている状態でも回復可能
旅行などで自宅を数日あけている場合には水枯れが中期状態になっているケースに遭遇したことがある人もいらっしゃるでしょう。
ですがご安心ください。株が大ダメージを受けているのは間違いないものの、中期段階でも回復が可能です。
具体的には、上記の1~3の方法に加えて以下のような剪定を行いましょう。
- チリチリになった葉はすべてむしり取る←残していても復活しない
- しわしわになった枝はその部分を切り取る(=剪定)←残していても無駄
- やられていない残る株全体の枝葉も適宜剪定する←枝葉を減らして株の負担を軽くする
- 剪定は全体的に3分の1を目安に。重症なら2分の1程度切り戻す
- 剪定後、数日~1週間くらいは半日陰環境で養生させる←この段階では肥料をあげない
- 一週間程度を目安に液肥や肥料をあげて回復をはかっていく
これらを参考に行ってみてください。
本稿のまとめ
さて、いかがだったでしょうか。
本稿では暑い時期に起こりがちな鉢バラの水枯れ症状の紹介とその回復方法について説明してきました。水枯れ症状に対して血相を変えて慌てる必要はありませんが、早めの処置を心がけることが大切です。
水枯れはしないにこしたことはありません。 夏の鉢バラの水やりのメルクマール|灼熱の季節を乗り越える視点 を熟読して対策にあたってみてください。
本稿が皆様のより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活をはじめませんか?
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バラの管理/Sentence/All photos:花田昇崇