フルーティーな香りを染み込ませた大輪バラ[ジャスト・ジョーイ]の栽培実感

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ジャスト・ジョーイ」は、パパ・メイアンクイーン・エリザベスなどと同じく世界ばら会連合による「栄誉の殿堂入り」を8番目に果たした品種で、世界のバラ愛好家から好意的な評価を受けたバラです。

このジャスト・ジョーイは、銅色とオレンジが混じるような開きはじめのつぼみから、咲き進むにつれてフルーツのような香りが染み込んだ深いアプリコットの大輪花が風のせせらぎを受けて波打つフリルの花びらとともに揺れる魅力的な品種です。

本稿は、フルーティーな香りをアプリコットの大輪花に染み込ませたバラ「ジャスト・ジョーイ」の栽培実感です。

 

バラ「ジャスト・ジョーイ」(ハイブリッド・ティー)の満開時の花の中心を拡大して写した美麗な写真。[撮影:ローズフェスタ]

 

品種の情報

4基準データ

  • 花色 : ディープ・アプリコット[深みのあるあんず色]
  • 芳香 : ★★★★☆☆ [中香~強香|フルーツ香
  • 耐病性 : ★★★☆☆☆ [うどんこ病「普通よりも弱い」|黒星病「普通」]
  • 樹形 : 木立ち性|ハイブリッド・ティー|半横張り

※4基準とはバラ入門者の方がはじめてのバラを選ぶうえでの指標となる4つの判断基準です。さまざまにある選択要素のなかから最も重要な4つの基準を紹介しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

⇒ バラ初心者の品種の選び方。あなたに最適なバラを探す4基準

ハイブリッド・ティーってなに?|新時代を開いた現代バラ誕生の物語

 

補足基準データ

  • 花つき : やや良い
  • 花もち : やや良い
  • 花形 : 丸弁抱え咲き
  • 花びらの枚数 : 35枚[最大]
  • とげ : 無数の鋭くふといとげ
  • 耐寒性/耐暑性 : 普通[冬:普通/夏:普通]
  • 花径 : 14cm[大輪
  • 樹勢 : 普通~やや強い
  • 開花サイクル : 四季咲き
  • 作出 : 1972年.イギリス[カンツ|Cants of Colchester]
  • 原名 : Just Joey
  • 交配 : Fragrant Cloud[Duftwolke] × Dr.AJ Verhage 
  • 備考 : 第8回栄誉の殿堂入り|世界バラ会議 in ニュージーランド「クライストチャーチ大会」

※「丸弁」「抱え咲き」など、バラの花形にはさまざまなものがあります。

⇒ 花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き

※補足データは4基準に準じる2次的な基準です。4基準ほど育てやすさに直結するものではありませんが個々の花の個性を形づくる情報です。

 

外観上の特徴

ジャスト・ジョーイ!は四季咲き性の品種で、冬期を除く春~秋に繰り返して何度も開花します。

つぼみ~ほころび

バラ「ジャスト・ジョーイ」のつぼみ

 

つぼみがほころびると濃いめのオレンジ、または銅色とオレンジが混じるような色味が顔をだします。

 

バラ「ジャスト・ジョーイ」のつぼみの開きはじめの頃の写真。胴色とオレンジ色が混ざったような色味。

 

木立ち性・ハイブリッド・ティー品種「ジャスト・ジョーイ」のつぼみを上から撮影した写真。

ブランデーのような色味という評価もある。

 

開花|花色の魅力

咲き進むにつれて濃いオレンジが徐々に薄まるようにアプリコットの色味[あんずの色味]に近づきます。

 

バラ「ジャスト・ジョーイ」の開きはじめの頃。アプリコットの花色がわかる。

 

バラ「ジャスト・ジョーイ」の咲きはじめの姿。4分咲きくらい。

 

輝くばかりに美しいアプリコットの色味と花びらの縁がふりるのように波打つジャスト・ジョーイの花姿です。

風を受けて揺れる左右にジャスト・ジョーイはまるで陽気に語りかけてくるよう。

 

アプリコット色の大輪のバラ「ジャスト・ジョーイ」の花姿。美麗な写真。[撮影者:花田昇崇]

 

花つき

花つきがやや良い品種です。

株に力がついてからは比較的わりと次々とつぼみをあげてきます。

 

花もち

花つきだけでなく、花もちも比較的良いです。

ステム[茎]が長いので切り花にして楽しめます。[ただし、ステムは太さがなく、細くなりがちなので切り花に最適とまでは言えない。]

昨今の高温化を踏まえると、開花後はなるべく早めに伐って涼しい室内に移動させるのがよさそうです。

 

香り

「ジャスト・ジョーイ」の花びらの中心付近を撮影した写真。薄いアプリコット色になっているのは6月末に咲いた2番花のため。

 

フルーティーな香り[フルーツ香]の「中香」~「強香」です。

好きなバラにジャスト・ジョーイをあげる人の多くが香りの良さを挙げているようです。

交配親の「フレグラント・クラウド」[Fragrant Cloud]と「バーヘイジ」[Dr.AJ Verhage]はともに香りの良さで知られた品種です。

世界中から支持を集めているジャスト・ジョーイの香りの良さは両親から引き継いでいるのでしょう。

なお、このフレグラント・クラウドは別名を「ドゥフトボルケ」[Duftwolke]と言い、じつはこのドゥフトブルケの名で第3回の栄誉の殿堂入りを果たしています。

ジャスト・ジョーイは親子で殿堂入りを果たしているバラということですね。

 

世界ばら会連合の第3回栄誉の殿堂入り品種のバラ「ドゥフトボルケ」(ハイブリッド・ティー)の美しい花姿。

「フレグラント・クラウド」・「ドゥフトブルケ」の2つの名をもつバラ。第3回栄誉の殿堂入り品種。

 

新しい葉と古い葉との対比

葉からは病気への強さを感じません。

新しい葉はこちら。

展開直後の葉は美しい赤銅色[シャクドウイロ]ですがこの状態は長くは続きません。

 

赤銅色のジャスト・ジョーイの若い葉

赤銅色のジャスト・ジョーイの若い葉

 

古い葉はこちら。

葉のワックス層は比較的すぐにはがれる印象で、また病気への強さもあまり感じません。

 

「ジャスト・ジョーイ」の古い葉。

すぐに落ち着く。

 

育てやすさについての私の実感

耐病性

バラはさまざまな病気にかかりますが、品種を問わず最も頻繁にかかるのが「うどんこ病」と「黒星病」の2つの病気で、これらは「バラの2大病」と呼ばれています。

この2大病の耐病性は「普通」程度と考えています。

うどんこ病への耐病性

うどんこ病に「普通よりも弱い」品種です。

[※表記の参考:最低 < かなり弱い < 弱い < 普通よりも弱い < 普通 ]

うどんこ病の耐病性が「普通」よりもやや劣る印象です。うどんこ病に感染した2株の間にジャスト・ジョーイの鉢を置いておくと、高い確率で、それもわりとすぐに感染します

うどんこ病に「弱い」または「普通よりも弱い」品種という理解でよいと思われます。

うどんこ病の症状|風が運ぶ脅威。季節はずれの粉雪がもたらす病害 ではこの病気について解説しています。

黒星病への耐病性

黒星病に「普通」の品種です。

[※表記の参考:弱い < 普通よりも弱い < 普通 < 普通よりも強い < 強い ]

薬剤で保護しなくても5月の春バラのシーズンまでは葉を落とさずにもつ印象です。

ただし、それ以降は黒星病に感染し、葉を落とす場面を毎年見かけます。特に梅雨以降は薬剤の保護がない限りは葉のかなりの多くを失うケースが多いと考えています。

なお、アメリカにおいても湿度が高い州[たとえばミシガン州など]の夏には黒星病が多く発症するという報告があり、海外においてもジャスト・ジョーイは雨に強くない品種との評価がなされています。

日本の湿潤な環境はジャスト・ジョーイにはより一層に過酷と思われます。

抵抗力まとめ

ご覧いただいたようにうどんこ病に「普通よりも弱」く、黒星病も「普通」程度の強さのため、特に病気に強いということはありません。

2大病への抵抗力は「普通よりも弱い」と評価してもよかったのですが、ひとまず「普通」と評価します。

 

樹勢

樹勢は「普通」~「やや強い」]です。

おおむね、

  • 横幅|60cmから90cm
  • 背の高さ|120cmから150cm

といった程度になります。

 

とげの具合

若い枝のとげは鋭いとげが少しある程度。

若い枝に限定して言えば、慎重に扱うことで革手袋が必須というほどではありません。

 

「ジャスト・ジョーイ」の若い枝。鋭いとげが3つ見える。

伸長したばかりの若い枝のとげ

 

若い枝に対して、成熟した株元やその付近のとげはご覧のように多くあります。

こちらは革手袋が必要です。

 

「ジャスト・ジョーイ」の古い枝。鋭いとげがいくつも見える。

ジャスト・ジョーイの株元近くの枝のとげ

 

栽培のコツ

うどんこ病にやや弱いのでいつもより風通しに意識

先述のとおりうどんこ病に弱さが見られる品種です。[普通よりもやや弱い

うどんこ病に備える栽培環境が推奨されます。

  • なるべく風通しの良い環境を選んで植える、または、育てる
  • 普段から株の内側の細い枝を間引いて株内の風の通りをよくすること
  • 乾いた日の午前中を選んで病気の発症前から予防的に重層や 食酢 を散布する

これらを意識して日ごろの栽培管理に当たりたいところです。

なお、2大病のもう一方の黒星病に強いわけでもないので、うどんこ病と黒星病の両方に効果のある予防薬剤を使用するとさらに大きな効果が見込めます。[薬剤散布がおススメ]

 

日向を好む[半日陰は向かない]

管理人の手元のジャスト・ジョーイは日向と半日陰に近い環境の2カ所で育てています。

このうち、日向については生育に何ら問題ありません。

ただし、半日陰に近い環境だと花つきが大きく劣る印象です。

海外の調査でも毎日6~8時間以上の日光量が必要というレポートがあります。

ジャスト・ジョーイは半日陰には向かない品種という印象をもっています。

 

ローズフェスタのビニールハウス内で咲いた4輪の「ジャスト・ジョーイ」の花姿。

ビニールハウス内の日向のジャスト・ジョーイ

 

適する栽培方法

地植え・鉢植えのどちらかに特に向くということはなく、どちらも同じように育てることができます。

  • 大きく株を育てて多くの花と香りを楽しみたければ地植えに
  • なるべく株を小さく育ててたければ鉢植えに

といった感じでお好みで。

管理人のおススメは、地植えです。

この場合、雨への抵抗力が普通程度なので予防薬剤をきっちりと散布しながら葉を落とさないように育てることが大切です。

 

結論|育てやすいか?のまとめ

これまで見てきたように、ジャスト・ジョーイは以下のような特徴がある品種です。

  • 2大病の耐病性が「普通」程度
  • 薬剤散布がおススメ
  • 風通しを意識する
  • 毎日6~8時間の日向に向く[半日陰には向かない]
  • とげが多い

などから栽培スペースにゆとりが少ないケースが多く、また湿潤な環境も多い日本では育てる環境に向き・不向きが生じやすく、諸々にやや手がかかる品種と言えそうです。[中級者以上向き]

 

2016年4月25日に、ビニールハウス内で咲いたバラ「ジャスト・ジョーイ」の花姿。かなり早めの一番花のせいか通常時の色味や花形と少し違う。

 

本稿のまとめ

さて、いかがだったでしょうか。

本稿では、フルーツのような香りを染み込ませた深いアプリコットの大輪品種「ジャスト・ジョーイ」について紹介してきました。

海外とは異なり、日本では初心者に適するとまで言いきることには抵抗があると考えていますが、「とにかく難しい」というほどでは全くありません。本稿であげている注意点を意識すればその他は簡単です。ぜひ挑戦なさってみてください。

本稿がより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活をはじめませんか?

 

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ジャスト・ジョーイの栽培/Sentence/All photos:花田昇崇