平和の願いが込められたバラ

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8月15日は終戦の日です。

花を愛でることのできる日常は、平和な世の中であってこそ保たれる生活なのだと改めて思います。花と平和は高い親和性をもって語られますが、バラにおいても、平和の願いを込めて命名された品種はいくつもあります。

本稿では、平和であってこそ花を育てる楽しみを享受できていることに感謝しつつ、平和を願って命名されたバラを紹介します。

 

平和の願いを込めて命名されたバラ

バラの新しい品種は育種家さん達が異なる品種を掛け合わせることで誕生します。そうして新たに誕生したバラの名前にはその作出者の想いが込められています。

真っ向から平和を謳ったバラがフランスのメイアン社が発表したバラ「ピース」です。

ピース

バラ「ピース」の8分咲きの超美麗な写真。ローズフェスタ所有のビニールハウス内で花田昇崇が撮影した。

1945年に発表されたこのバラは当初は別の名が付けられていたものの、第二世界大戦の終結にあたり「ピース」として世にでました。

全体として黄色の花の外側の縁にほのかに桃色が入った複雑で美しい品種です。

花びら1枚々〃を見るとそれぞれ先端がほどほどに尖っている半剣弁咲きで、また、花の中心部の花芯が外側の花びらよりも高くなっている高芯咲きの花です。(半剣弁高芯咲き)

※「半剣弁高芯咲き」をはじめ、バラの花形にはさまざまなものがあります。

花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き

「栄誉の殿堂入りのバラ」初受賞(1976年)の品種ということもあり、今日においても大変人気なバラです。

クローネンブルク

バラ「クローネンブルグ」の8分咲きの美しい花姿。

「ピース」の枝変わり「クローネンブルグ」(HT)。別名があり、「フレーミング・ピース」ともいう。

半剣弁高芯咲きの形はそのままに、ご覧のような異なる花色のバラです。写真はハイブリッドティーですが、つるバラタイプも販売されています。

アンネの思い出

バラ「アンネの思い出」の9分咲きの美しい花姿。

咲きはじめはオレンジ色で、開花とともに端から淡黄色へと変化していくのが美しいバラ「アンネの思い出」は、第二次世界大戦中の戦時下の残酷さを物語る「アンネの日記」で知られるアンネ=フランクに捧げられたバラです。アンネのバラとも言われます。

このアンネのバラは RSKバラ園よしうみバラ公園 で観賞することができます。

アンネのバラの派生品種

プレイ(祈り)

バラ「プレイ」の8分咲きの花姿。

非売品種だが東日本大震災のチャリティーローズとして限定的に販売された。

プレイ(祈り)」はアンネのバラの改良品種。

セント・コルベ

平和のバラ「セント・コルベ」が複数写った写真。

セント・コルベ」はアンネのバラの枝代わりで誕生したバラです。

神父コルベに捧げられたバラで、第二次世界大戦中のアウシュビッツ収容所での悲劇を戒める平和の花です。

絆・KIZUNA

東日本大震災のチャリティーローズ「絆・KIZUNA」の8分咲きの美しい花姿。

東日本大震災のチャリティーローズ「絆・KIZUNA」は震災に心を痛めたフランスの育種家ドミニク・マサド氏が日本に寄贈したバラ。

 

本稿のまとめ

本稿では平和の願いが込められたバラについて紹介してきました。

これら平和のバラをまじまじと観賞するとき、そこに込められた想いやそのバラに触れてきたたくさんの人達の想いの連なりを感じ、平和を日常として享受することができている今のこの現実のかけがえなさ・尊さに改めて思い至ります。花が伝える平和について皆様はいかがお考えでしょうか。

本稿がより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活を始めませんか?

 

写真・記事の無断掲載・転載を禁止します。

バラの栽培:各バラ園さん。花田昇崇

Sentence/All photos:花田昇崇

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