ハダニ|バラの害虫|葉の表面のかすり状紋様に要注意!それが寄生の印

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バラの害虫「ハダニ」の被害を受けた葉の写真。葉の表面がかすり状になっている。写真上の6枚の葉のすべてが被害を受けている。花田昇崇が撮影。

害虫対策の第一歩は敵を知ることからはじまります

暑くなるとうごめく小さな小さな敵がいます。

その害虫はあまりの小ささで肉眼では見えづらく、殺虫剤も効かない厄介な相手で、静かに忍び寄って確実にあなたのバラを蝕んでいきます

この小さく厄介な敵の名を「ハダニ」といいます。

本稿は暑い季節に圧倒的な猛威を振るうバラの害虫「ハダニ」について扱います。あなたのバラを襲う異変、ハダニがもたらす被害、被害葉の様子・被害段階などについて説明します。

ハダニの一般的な内容を知りたい方は本稿をご覧ください。

[注意]

説明のため、ダニの拡大写真を多数掲載しています食事中などにはご覧にならないようご注意ください

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はじめに

こちらの記事はハダニの害などの一般的な内容を扱う前編です。

※被害段階別の具体的な駆除の方法はこちらをご覧ください。

⇒ ハダニの駆除方法|肉眼で見えず、殺虫剤も効かない敵を退治する実践的な手順

異変。あなたのバラを襲う脅威

あるとき突然に気づく

バラの害虫「ハダニ」の被害を受けた可能性のあるバラ「グレーフィンディアナ」の葉の表面。葉にうすくかすり状が見える。発生初期の被害葉。花田昇崇が撮影。

目を凝らせばわかる葉の表面のかすり状。発生初期の被害葉。

ハダニの被害はある日突然にやってきます。それまで何の変哲もなかったバラの葉のちょっとした変化がきっかけです。

バラを眼下に眺めていると、葉の表面のところどころに退色した斑点が生じていることに気づきます葉の緑の色素が薄れて退色したり白くなってしまったかすり状の葉です

このようなかすり状の葉は、正常な葉とくらべて一見して異常を感じさせる不健全さがあるためすぐに気がつくことでしょう。

かすり状の葉こそバラの害虫のひとつ「ハダニ」が寄生している証です。ハダニがあなたのバラを襲っているのです。

最初に行うべきこと

ハダニに寄生されて被害を受けたバラの葉。その葉裏写真。赤い点のように見えるのがカンザワハダニ。白く見えるのが卵など。

ハダニに寄生された葉裏の拡大写真。赤い点のように見えるのがカンザワハダニ。白く見えるのが脱皮郭や卵など。

かすり状になった被害葉を見つけた場合に最初に行うこと、それはただちにルーペなどで葉裏をチェックすることです

この理由は、

  • ハダニは非常に小さく、針のあなを見るよりも小さいため肉眼では見えづらい
  • 株を征服しきった場合を除いて、ハダニは葉裏で活動しているため葉裏を確認しなければわからない
  • 表面の被害状況だけを見るとバラの病気「モザイク病」の症状と似ている場合があるため、葉裏を確認することが大切

の3点です。

バラの害虫「ハダニ」の被害を受けた可能性のあるバラ「サマーレディ」の葉の表面。葉にかすり状がはっきりと浮かんでおり、葉柄には蜘蛛の糸が見える。被害の段階は発生中期といえる。花田昇崇が撮影。

木立ち性・ハイブリッドティー品種「サマーレディ」の葉の表面。葉にかすり状がはっきりと浮かんでおり、葉柄には蜘蛛の糸が見える。このあたりは被害段階の中期といえる。

ハダニと10円玉との大きさ比較。よく目を凝らせば見える点のようなのがハダニ。

「サマーレディ―」の葉裏。ハダニと10円玉との大きさを比較してみる。ハダニはあまりにも小さいため、10円玉との比較ではハダニを確認することができないほど。

即座に行動しよう

バラを加害するさまざまな害虫のなかでもハダニの繁殖スピードはあまりにも速く、あっという間に株全体に、そして付近の他のバラへと移りながら増殖を繰り返します

増殖スピードが速いということは、世代交代が速いということでもあります10日間ほどを基準に、どんどん増えます

葉の異変に気づいたらすぐに処置にはいることが必要です。

ハダニとは?バラを加害する2種類のハダニ

それでは、ハダニがどのような害虫なのかについて紹介します。

ハダニは「クモ網」に属し、広い意味ではクモやサソリのグループの害虫です。バラに寄生するハダニとして、ナミハダニとカンザワハダニの2種類を知っておけば良いでしょう。(ニセナミハダニのように、あまりバラにつかないハダニもいます。)

ハダニ類に共通するポイントは、

  • 体長が0.5mm前後と非常に小さい
  • 25℃以上の高温を好む
  • 寄生すると葉にかすり状の紋様がつけられる
  • 葉裏に寄生する
  • 葉裏に成虫、幼虫、卵、脱皮郭などが混然と密集しているのでそれを手掛かりにする

など。

ナミハダニ(Two-spotted spider mite)

ハイブリッドティーローズ「グレーフィンディアナ」の葉裏に寄生した淡い黄緑色の身体をしたナミハダニ。

木立ち性・ハイブリッドティー品種「グレーフィンディアナ」の葉裏に寄生したナミハダニ。

薄い黄緑色の身体が特徴のナミハダニ

この写真はスマートフォンなどのモバイル端末からは見えづらいかも知れませんが、よくよくご覧いただくと薄い緑色をした点のような個体や白くなった点々を確認いただけると思います。

これらがナミハダニや脱皮郭です。

世代交代の速いハダニのなかでもナミハダニは最も速く、暖地では年間で15世代以上増殖するとも言われています。まさしく“バイバイゲーム”で増えていきます。

バラの他にもリンゴ・桃などの果樹類やキュウリ・スイカ・イチゴなどの野菜類、菊やシクラメンなどの花や野生の植物に広く寄生しており、しかも作物間の移動を頻繁に行うなど厄介な特性を備えています。

カンザワハダニ(Kanzawa spider mite)

バラに寄生するカンザワハダニの拡大写真。

この黒赤色の粒々の一つ一つがカンザワハダニ

暗赤色~朱色の身体が特徴のカンザワハダニ

バラの他にも朝顔やマリーゴールド、ランなどの花や各種野菜類にも寄生します。

ナミハダニほどではないにしても、それに近い恐ろしい早さで増殖を繰り返します。

この章のまとめ

薄い黄緑色と暗赤色の2種類のハダニがいることを紹介しました。

ここでのポイントは、これらの区別をつけられるようにすることではありません。「色が違うからハダニじゃない」などと思わないよう、色は違うが2種類のハダニがいるということを知っておいてください

駆除の方法も同じです。

ハダニがもたらす被害

このようなナミハダニやカンザワハダニがもたらす被害について紹介しておきます。

最終的にはバラの観賞価値を損なうことがハダニの害となるわけですが、それは以下のような経過をたどります。

  1. 葉に吸汁して、葉を落葉させる原因となる
  2. 光合成を阻害し、株が弱る。
  3. 花が咲かなくなる、または咲いても観賞価値を大きく損なう

ハダニの圧倒的な増殖力も相まって、バラを育てる楽しみを奪うような大きな被害をもたらします。

さらに、蔓延を放置すると株の体力も奪われ、そうなると他の病害も招くようになります

そのため早い段階でハダニの増殖を阻止することが必要になるわけです。

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各段階の被害葉の様子

ハダニの被害には程度に応じた段階があります。各段階の被害葉・被害株の様子を紹介します。

まず、新葉とくらべてみずみずしさを失っている古い葉からハダニの寄生がはじまりますが、古い葉は株元から株の中ほどの株の中間部分より下にかけてあるのが通常です。

一般的に、下から上へ、と被害が広がります

下葉の段階で気づくことができれば見事で、多くの場合には株の半ばまで増殖した段階で気づくことが多かろうと思います。

初期

初期段階で発見しようとすれば、葉のかすり状に気を配って見つけるよりほかはありません。

背の低い部分の葉を重点的にチェックすることで気づくことができるでしょう。以下の写真は株元の葉の様子です。

バラの害虫「ハダニ」の被害を受けた可能性のあるバラの品種「ベビーロマンティカ」。葉にかすり状が見える。発生初期の被害葉。花田昇崇が撮影。

木立ち性・ミニアチュア品種「ベビーロマンティカ」に寄生したハダニ。発生初期の被害葉

中期・蔓延状態

発生初期に気づけなくとも、この中期段階になると気づくことができるでしょう。この段階で気づくのが一般的です。

下の写真は株全体に水がかかった状態ですが、通常の株では見られない不自然なテカりがあります。よくよく目を凝らすと、枝葉の間に水滴がとどまっていることに気づくでしょう。

バラの害虫「ハダニ」の被害を受けた可能性のある株を上から撮影した写真。株全体に水を撒いた直後の写真で、枝葉が不気味にてかっている。これはハダニが蔓延しているためであると考えられる。花田昇崇が撮影。

バラの害虫「ハダニ」の被害を受けた可能性のあるバラの品種「ミミエデン」。株全体に水を撒いた直後の写真で、枝葉が不気味にてかっている。よく見ると蜘蛛が糸を張ったような箇所があり、そこに水滴がひっかかっている。この蜘蛛の糸はハダニ蔓延時にできるもの。花田昇崇が撮影。

木立ち性・ミニアチュア品種「ミミエデン」。蜘蛛が糸を張ったような箇所があり、そこに水滴がひっかかっている。

この蜘蛛の糸はハダニによってつくられるもので、これがあることで中期段階以上の蔓延状況にあることが確実となります

ハダニに寄生され生気を失ったバラの葉。その葉裏の写真。

葉裏を確認するとこのとおり、ハダニでびっしり

最終状態

葉の全体が白っぽくなり、全く生気を感じなくなります

株の至る所に無数の蜘蛛の糸が張られて、葉裏に隠れなくなったハダニが株全体を縦横に移動し無数に蠢いているこうなると手遅れで、一度株をリセットしなければなりません

これが最終状態。

ハダニが蔓延しきった株の状態。葉は生気を失い、蜘蛛の糸がはっきりと見える状態になっている。花田昇崇が撮影。

ハダニが蔓延しきった株。葉は生気を失い、蜘蛛の糸がはっきりと見える

ハダニが蔓延したバラの株。生気を失った葉の拡大写真。赤い点々のように見えるのがカンザワハダニ。

最終状態の拡大写真。赤い粒々はカンザワハダニ

カンザワハダニに寄生されて著しく生気を失ったディズニーランドローズの被害葉の拡大写真。花田昇崇が撮影。

著しく生気を失った被害葉の拡大写真。無残と言うよりほかはない

最終形態となってからは、いかに株が枯死しないかに気を配る必要があります。

この段階にあっても薬剤を使うことに抵抗がある方は株の廃棄を前提に処置されて下さい。抵抗のない方は薬剤による処置をしましょう。

この章のまとめ

ご覧いただいてきたように、ハダニの被害は段階ごとに、時間の進行につれて深刻化します。繰り返しますが、早めの対処が大切です。

ハダニが喜ぶ活動環境。増殖時期・条件・潜伏場所

このような害虫であるハダニは高温・乾燥の環境を好みますうだるような暑さがバラの水気を奪い葉の水分を蒸発させたとき、そこに乗じて巣食います

増殖時期は夏

そのため季節でいえば、

夏期シーズン5月初旬~11月中旬頃

が繁殖に適する時期です。

少し前までは本格的に高温・乾燥環境にはいるのは梅雨明け後でしたが、近年は様相が変わってきているのはあなたもご承知の通りだと思います。

地球温暖化の影響を強く受けていると思われる昨今は、梅雨明けを待たずに30度を超える日も珍しくはなくなっていることから、近ごろは5月初旬ころより本格的に活動するようになってきています。

増殖に適する条件

高温・乾燥を好むハダニですから、これを助長し促進する環境はハダニの増殖に寄与する条件になります。たとえば、

  • ビニールハウス
  • 屋内
  • 屋根(ベランダ)下

などの環境では降雨や夜露を浴びることがない(少ない)ため、葉の乾燥を促進します。葉が潤いを失いがちな環境がハダニの増殖をまねく条件となるのです

ただし水分を過度にあてすぎると今度は黒星病をまねきます。タイミングとバランスが大切です。

ハダニが潜む場所

バラに寄生するハダニはそもそもどこから来るのでしょうか。害虫とて生物ですから無からポッと生じるわけではありません。

ハダニは雑草を含めておよそ草花に潜んでいます。これを頭に入れておきましょう。普段から除草につとめるなど株まわりを清潔に保つことがハダニの無農薬防除の第一歩となる大切な心がけです

また、バラの株元や散った花びらや枯葉などにも潜んで越冬します。株元には薬剤を、そして枯葉などはしっかりと集めて処分することが必要です。

参考:ハダニに弱い要注意品種の実感

ハダニに寄生され生気を失ったバラの葉。その葉裏の写真。

吸汁されて生気を失った葉。葉裏の全面に寄生しており、段階的には中期~最終状態への中間あたり

本稿の最後に、私の実感として現在確認しているハダニ被害を受けやすい品種について補足しておきます。

  • ガーデングローリィー:つきやすい
  • グレーフィンディアナ:非常につきやすい
  • ディズニーランドローズ:つきやすい
  • ティネケ:つきやすい
  • 緑光:非常につきやすい
  • 木立ち性・ミニアチュア樹形(ミニバラ)の品種:つきやすい傾向にある。ミミエデンやベビーロマンティカ、テディーベアーなどはよくつく

本稿の続きはこちら

※具体的な駆除方法の手順についてはこちらをご覧ください。

⇒ ハダニの駆除方法|肉眼で見えず、殺虫剤も効かない敵を退治する実践的な手順

※ハダニの駆除薬はこちらで紹介しています。

⇒ ハダニへの殺ダニ剤の無計画使用は厳禁|科学的に征する殺ダニ剤と物理的に征する天然由来の農薬

本稿のまとめ

さて、いかがだったでしょうか。

本稿はバラの害虫の「ハダニ」について、その被害や被害葉の様子・段階など幅広く紹介してきました。

本稿が皆様のより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと一緒に暮らす生活を始めませんか?

写真・記事の無断掲載・転載を禁止します。

Sentence/All photos:花田昇崇

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