ハイブリッド・ティー(HT)ってなに?|樹形の特徴|モダンローズの誕生にまつわる歴史

  • Pocket
  • LINEで送る
ハイブリッドティーの歴史を語る上で外せない品種。第1号「ラ・フランス」の開花写真。五感で楽しむ薔薇の専門店の花田昇崇が撮影。

バラの本や本稿をご覧になると幾度もでてくる「ハイブリッドティー」という言葉。

わかるようでわかりづらいし、時間が経てば忘れてしまう。だってバラの分類って多すぎるから。。。

本稿は「結局ハイブリッドティーって何だろう?」とお思いのあなたにお届けする内容です。「ハイブリッドティーとはどのようなものなのか」についてわかりやすく説明しています。

 

Sponsored Link

 

ハイブリッドティーの説明

枝の先端に一輪の花を咲かせようとする木立ち性・ハイブリッドティー「サマーレディ」。大輪の花を咲かせる四季咲き品種。

長い枝の先端に一輪の大輪花を咲かせようとする木立ち性・ハイブリッドティー「サマーレディ」

 

バラの本などの一般的な記述・説明

市販のバラ栽培本などではおおむね以下のように説明されています。

ハイブリッドティー系統は四季咲き性の大輪品種のことです。」と。

もちろんその通りです。ただしこれ、バラに触れはじめた最初の頃には意味が分かりませんよね?かくいう私も最初の頃には意味が分かりませんでした。ご安心ください、わかりやすくお伝えします。

 

わかりやすいハイブリッドティー系の説明

典型的なハイブリッドティー「パパメイアン」の写真。長いステムと先端の大輪花がバランスよく写っている。

「パパメイアン」はわかりやすい典型的なハイブリッドティー品種のひとつ

 

ハイブリッドティー系統は四季咲き性の大輪品種」という文章には2つの意味が含まれています。

「四季咲き性」と「大輪」という2つの部分ですたしかにこの2つがハイブリッドティー系の不可欠の要素です

しかしこれだけではなく、以下のような特徴もあわせて知っておきましょう。

  • 前提として、木立ち性(=支柱に結ばなくても木のように株が自ら立てる(自立する)こと)であること
  • 四季咲き性(=春~初冬まで年間を通じて複数回咲く)
  • 8cm~12㎝以上の大輪花(=長い茎の先に一輪だけ大きな花をつけるものが多い。養分が集中するので大輪に咲く。品種によっては側蕾が必要
  • 開花の間隔が長め。(1茎につき1つの花なので次の開花まで時間がかかる)

この赤文字にしたところを知っておくと良いと思います。

この枝先に一輪の大輪花を咲かせるという特徴からハイブリッドティー系統のバラはしばしば切り花に用いられます。実際に切り花として販売されるかどうかは、あとは品種ごとの花もちの良さや花色などによって決まってくるわけですね。

 

バラの木立ち性の「ハイブリッドティー」。その見本写真としてバラ「ティネケ」の写真。

長い茎(ステム)の先で開こうとするつぼみ。これから一輪の大輪花が咲く。ハイブリッドティー「ティネケ」より。

 

以上がハイブリッドティーの特徴でした。

これからはハイブリッドティーはどこから来たのか?についても説明したいと思います。ハイブリッドティーをよりよく理解することができます。よろしければお付き合いください。

 

Sponsored Link

 

ハイブリッドティーはどこから来たのか?

ハイブリッドティーがどこから来たのかを語るためにはその歴史をたどることが必要です。すこし歴史物語をしたいと思います。

 

2つのオールドローズ系統。融合の産物

世界中に散在していたバラの原種は人によって集められ、より良い花を生み出そうと数百年にわたって人工的な交雑が進められてきました。それは今日でなお衰えを見せていません。

江戸時代が終わる19世紀の半ばころまでに西洋ではすでに様々な品種の系統が生まれていましたが、主流は(今日で言う)オールドローズ群と言われる春に1度だけ開花する一季咲きのグループでした。

この当時も年間を通じて繰り返し咲く四季咲き品種が存在してはいたものの、そのあまりの弱さのため普及するには至っていませんでした。

そのような当時の状況下において、オールドローズ系統のなかで将来性を感じる際立った特徴を有していたのが

  • オールドローズ群:ハイブリッドパーペチュアル系統
  • オールドローズ群:ティー系統

の2つの系統で、その交雑が進められていくことになります。

 

ハイブリッドパーペチュアル系統

19世紀半ば~後半までの西洋ガーデンローズの中心としてあり続けたこの系統は、「永久(=perpetual・パーペチュアル)」を意味する単語が付せられてオールドローズ群のなかでも高い完成度を誇っていました。大輪花を咲かせ、同時にまた鮮やかで多彩な色彩が特徴の系統です。

寒さ(耐寒性)に強く、また強健さが特徴で寒さに厳しい西洋のガーデンローズとして広く受け入れられた理由でもあります。最初のハイブリッドパーペチュアルが誕生した19世紀最初(1816年)から19世紀の後半までの100年未満の間に1000品種以上が生み出されたとも言われます。

大輪花に多彩な花色を咲かせ、さらに耐寒性に優れるなどのハイブリッドパーペチュアルですが、最大の弱点は完全な四季咲き性を持ちえなかったことにありました。

 

ティー系統

ハイブリッドパーペチュアルに不足していた四季咲き性という特徴は中国に起源するバラが備えていました。「ロサ・キネンシス」です。

18世紀末ころから本格的に西洋に入ってきたロサキネンシスは、様々な紆余曲折を経てやがてオールドローズ群のひとつ「ティーローズ」系統の誕生へとつながります。

四季咲き性のティーローズ系統は同時に香りも優れていました。その香りが紅茶の香りに似ていることからティーローズと命名されることになります。

19世紀の前半にはこのティーローズの系統が成立していたと言われています。

他方で花色の多彩さなどがティー系統には不充分であり、それが弱点となっていました。

 

ハイブリッドティーの完成=モダンローズの誕生

さて、ここまでご覧いただいたあなたにはもうおわかりですね。

ハイブリッドパーペチュアル系統には長所と短所があり、その短所を補うのがティー系統だったのです。

かくしてハイブリッドパーペチュアルの長所とティーの長所が組み合わさり、新しい系統「ハイブリッド・ティー」(HT)が誕生することになりました

―豊かな芳香を放つ色とりどりの大輪花が繰り返して開花する

バラの育種に携わる先人たちが夢見た特徴を兼ね備えるモダンローズ(現代バラ)の幕開けです。

西洋で発展してきたハイブリッドパーペチュアルに中国からもたらされたバラが出会い、そして交わり、東西の融合によりバラの世界に新しい時代が生み出されたのです。

 

モダンローズ最初の品種は1867年の「ラ・フランス」

ハイブリッドティーの歴史を語る上で外せない品種。第1号「ラ・フランス」の開花写真。五感で楽しむ薔薇の専門店の花田昇崇が撮影。

ハイブリッドティーの歴史を語る上で外せない品種。第1号「ラ・フランス」

 

記念すべきハイブリッドティーの1号品種は今でも人気の高い「ラ・フランス」という品種で、同時にモダンローズの1号品種でもあります1867年に発表されました。

このラ・フランスが発表された1867年は特に重要な意味があり、

  • 1867年以前から存在し、育成されていた系統=オールドローズ
  • 1867年以降に生み出された系統=モダンローズ

このように1967年を境にそれぞれ呼ばれるようになりました。

なお、余談ですが日本では同年に江戸幕府最後の将軍である徳川慶喜による「大政奉還」が行われており、我が国でも時代の節目にあたる年です。

武家政権の終焉である大政奉還の年より前が「オールド」でそれ以降が「モダン」とは少々良くできた話しとは思いませんか?

 

 

本稿のまとめ

さて、いかがだったでしょうか。

本稿ではハイブリッドティー(HT)という樹形の特徴について、そしてハイブリッドティーがどこから来たのかに関する物語を紹介しました。ハイブリッドティーというのは学問的には正式な分類ではなく非公式なものですが、バラの世界では一般的に使われています。

ハイブリッドティーがどこから来たのかを知ることでバラの樹形の理解が進み、あなたにとってより良いバラを探す手助けとなれば嬉しく思います。

本稿が皆様のより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと一緒に暮らす生活を始めませんか?

 

写真・記事の無断掲載・転載を禁止します。

Sentence/All photos:花田昇崇

Copyright © 2016 五感で楽しむ薔薇の専門店 ローズフェスタ All Rights Reserved.

 

Sponsored Link

 

  • Pocket
  • LINEで送る

バラに包まれる暮らしの提案。『五感で楽しむ薔薇の専門店 ローズフェスタ』でバラ体験

数千年の昔から我々を魅了し続けてきたバラは限りない魅力に包まれています。

見てよし、香ってよし、身に纏ってよし。そしてもちろんプレゼントの定番といえばバラ。

バラの楽しみ方はひとつではなく、使い方・楽しみ方はあなた次第です。

当店は“バラを視覚、味覚などの五感で楽しむ”ことをテーマにバラにまつわるアイテムを“厳選して”取り扱っているECショップです。

  • バラを実際に育ててみたい。
  • 手芸素材のバラを探している。
  • 食用バラ(エディブルローズ)に興味がある。
  • お洒落なバラ雑貨を探したい。
  • バラ柄のアイテムを探したい。

etc...

バラ好きのあなたにお届けするバラに包まれた暮らし、「五感で楽しむバラ体験」提案しています。

バラのことなら『五感で楽しむ薔薇の専門店 ローズフェスタ』まで。

お気軽にご訪問ください。

 

 


バラ体験 五感で楽しむ薔薇の専門店 ローズフェスタ ページに移動する

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*