フルーツの香りと耐病性のバラ[レディエマハミルトン]の栽培実感

画面いっぱいに咲いたイングリッシュローズ「レディ・エマ・ハミルトン」の花姿。[撮影:花田上昇崇拝]
  • イングリッシュローズを育ててみたい
  • 初心者でも育てられる品種がいい
  • スペースにあまり余裕がない
  • 香りの強いバラがいい
  • オレンジ系(の色)がいい

もしあなたにこのような要望があるなら、そんなあなたにぴったりのイングリッシュローズが「レディ・エマ・ハミルトン」です。

管理人が最もおススメするイングリッシュローズの筆頭品種であり、芳香と耐病性がともに同シリーズ最強クラスの育てやすい優秀な品種です。[※2016年現時点]

本稿は、爽やかなフルーツの強い香りと耐病性が強くて育てやすいイングリッシュローズ「レディ・エマ・ハミルトン」の栽培実感です。

 

特徴の胴色の葉と一緒にうつった「レディ・エマ・ハミルトン」の花姿。[撮影者:ローズフェスタ]

爽やかなオレンジの花と銅色の葉との対比が美しい。

 

品種の情報

4基準データ

  • 花色 : クリアーオレンジ
  • 芳香 : ★★★★★☆ [強香|フルーツ
  • 耐病性 : ★★★★★☆ [うどんこ病に「強い」|黒星病に「かなり強い」]
  • 樹形 : シュラブ|こんもりとまとまるタイプ

※4基準とはバラ入門者の方がはじめてのバラを選ぶうえでの指標となる4つの判断基準です。さまざまにある選択要素のなかから最も重要な4つの基準を紹介しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

⇒ バラ初心者の品種の選び方。あなたに最適なバラを探す4基準

シュラブってなに?|多様・多彩なバラの個性が集まるシュラブの魅力

 

補足基準データ

  • 花つき : 抜群に良い
  • 花もち : やや悪い
  • 花形 : カップ咲き
  • とげ : 若い枝には細いとげがあるが次第になくなる
  • 耐寒性/耐暑性 : 寒さは強い|夏に弱く、下葉が黄変し落葉しやすい。ただし枯れこむことは少ない。
  • 花径 : 8cm
  • 樹勢 : 普通~やや弱い
  • 開花サイクル : 四季咲き
  • 作出 : 2005年.イギリス
  • 原名 : Lady Emma Hamilton

※「カップ咲き」をはじめ、バラの花形にはさまざまなものがあります。

⇒ 花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き

※補足データは4基準に準じる2次的な基準です。4基準ほど育てやすさに直結するものではありませんが個々の花の個性を形づくる情報です。

 

外観上の特徴

レディエマハミルトンは四季咲き性の品種で、冬期を除く春~秋に繰り返して何度も開花します。

枝が短いため切り花にはあまり適しません。枝に開花しているさまを楽しみます。

 

つぼみ~ほころび

「レディ・エマ・ハミルトン」のつぼみ

先端のつぼみ

 

「レディ・エマ・ハミルトン」のつぼみから開きはじめ

 

花色の魅力

「レディ・エマ・ハミルトン」のオレンジ色の花色がわかる写真

深みのある爽やかなレディエマハミルトンの花色

 

本物のフルーツよりも“美味しそう”に見えるクリアーオレンジの花色。

花びらは薄く繊細で女性的な花びらの一枚々〃が美しい。

※他のオレンジ系統のバラはこちら。

絆の花。オレンジのバラの紹介|100種類以上から選んだお勧め品種

 

明るいオレンジ色のバラ「ベビー・ロマンティカ」の8分咲きの花姿。

 

花つき

抜群に良い花つきです。

次々と開花するので後述の花もちの悪さはさほど気になりません。

枝先に3輪ほどの房になって次々と咲きます。

 

花もち

花つきが良い一方で、花もちはやや悪い部類になります。

季節ごとの目安では

  • 春・秋(気温20℃前後) = 3~5日程度
  • (最高気温35℃前後) = 1~2日程度

よく陽のあたる暖地ではこのあたりになろうと思います。

特に真夏では(栽培環境によりますが)開花からその日のうちに散るケースもなくはありません。

 

香り

最大の魅力は香りの強さではないでしょうか。

甘く熟れたフルーツのような芳香と爽やかなティーの香りが組み合わさる抜群の香り

 

新しい葉と古い葉との対比

新しい葉は胴色の美しい葉でオレンジ色の花色と良くマッチしています。

「レディ・エマ・ハミルトン」の若い葉。特徴的な胴色がよくわかる。

 

胴色の葉は時間とともに落ち着き、以下のような深みのある緑色の葉になります。

「レディ・エマ・ハミルトン」の古い葉。

 

育てやすさについての私の実感

耐病性

バラはさまざまな病気にかかりますが、品種を問わず最も頻繁にかかるのが「うどんこ病」と「黒星病」の2つの病気で、これらは「バラの2大病」と呼ばれています。

この2大病の耐病性が「かなり強い」品種です。

うどんこ病への耐病性

うどんこ病に「強い」品種です。

厚みのある葉はうどんこ病に強く、無消毒でもほとんど発生を見かけません。

黒星病への耐病性

黒星病に「かなり強い」品種です。

たとえ一部の葉が黒星病にかかることがあろうと、そこから蔓延して丸坊主になるほど葉を落とすことはまずありません。

抵抗力まとめ

ご覧いただいたように2大病のどちらにも強い耐性を誇るのがハミルトンの特徴です

四季咲き性バラにとって黒星病は宿命の病というべき病害ですが、黒星病に強い抵抗力があり、さらにうどんこ病にも強いのは特筆されるべき点です

薬剤の手間から解放されるのはバラを育てる楽しみを身近に引き寄せる長所です。

 

農薬を一切使用せずに育てた「レディ・エマ・ハミルトン」の古い葉の様子。

化学農薬の散布を一切行っていない無消毒の葉。暑さにやられて痛みが多少は見られるものの、完全無消毒でこの状態。

 

樹勢

樹勢は「普通」です。

もっとも、耐病性が強いことから葉を落として丸坊主になるケースがほとんどないため普通の強さの樹勢でも順調に生長していきます。

シュラブ品種ですが成株になってもコンパクトにまとまります。[大型化しない。

栽培スペースを大きくとられることがないのでちょっとした場所の余裕があれば育てることができます。鉢栽培にも最適な品種です。

 

とげの具合

「レディ・エマ・ハミルトン」の若い枝のとげ。

枝の先端付近のとげの具合。新しい枝には細いとげが無数にある。

 

上の写真のように細かなとげが無数にあり、指に突き刺さりがちです。ただしこの細かなとげは枝が若いうちだけなのでそこまで気になるものではありません。

とげは生長とともに下のように目立たなくなります。

「レディ・エマ・ハミルトン」の古い枝のとげの様子。古い枝はとげがない。

枝の中央付近のとげの具合。このようにとげがなくなる

 

栽培のコツ

紹介してきたとおり抜群に優れた品種であるためさほど手がかかりません。以下の2つを知っておけばよいでしょう。

暑さと寒さへの対応力

弱点は暑さに弱い点です。

気温30℃以上前後(目安)で生育がほぼ止まります。

また、5月以降の、特に梅雨明け以降の真夏の日差しを一日ずっと受けていると葉に強くダメージが生じるので、高温期には葉の状態に注視しましょう。異変があれば遮光措置をするなどして強すぎる日差しを和らげてあげるとよいです。

日光は好むが強い日差しには要注意”なバラです。

逆に寒さには強いので特別な対策は不要です。

意識的に内側の枝を剪定しよう

内側に枝が密集していきやすいので内側の枝を中心に間引くようにするとよいでしょう。

株内に枝が混みあっていると病害虫を生む悪環境となります。

 

適する栽培方法

コンパクトにまとまる樹形のため鉢植えに最適ですが、もちろん地植えにも向きます。[地植え・鉢植え、どちらにも向く

鉢で楽しみたい方は鉢で、水やりの手間を抑えたり大きく育てたいなら地植えと、お好みで。

管理人のおススメは地植えです。

 

結論:育てやすいか?のまとめ

これまで見てきたように、レディ・エマ・ハミルトンは以下のような特徴があり、大変育てやすい品種です。[初心者向き]

  • 耐病性に特に優れている
  • コンパクトな樹形
  • とげが少ない
  • 寒さには強いが暑さに弱い(夏には注意)

 

バラ「レディ・エマ・ハミルトン」の花色がわかる写真

 

その他のイングリッシュ・ローズ

  • 赤紫のイングリッシュ・ローズ「ムンステッド・ウッド」

雄々しく猛る深紅の大蛇のようなバラ[ムンステッド・ウッド]の栽培実感

  • イングリッシュ・ローズが咲き誇るデビットオースチンのローズガーデン、園内の様子はこちら。

⇒ デビッド・オースチン・ローゼズ社のバラ園|大阪府泉南市

 

本稿のまとめ

本稿はイングリッシュ・ローズの「レディ・エマ・ハミルトン」について紹介しました。

本稿がより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと暮らす生活をはじめませんか?


 

写真・記事の無断掲載・転載を禁止します。

レディ・エマ・ハミルトンの栽培/Sentence/All photos:花田昇崇

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