強香で食用にも使える花弁。黒バラの銘花[パパメイアン]の栽培実感

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ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」。黒味が増した特徴的な花色の開花姿。

バラの花弁にあらわれる花色は、数個の原色が混じり合って品種特有の個性的な色味をあらわすものがあります。バラの花色の分類に「黒バラ」という確かな区分があるわけではありませんが、本稿で紹介する「パパメイアン」の赤黒い花色はまさしく黒バラと分類されるに相応しい花色です。

パパメイアンはこれまで16品種選ばれている「栄誉の殿堂入り」を果たした世界的にも名の知れた名花です。

本稿ではこのパパメイアンを実際に育てた実感としての品種の特徴や栽培上のコツ、エディブルローズ(食用バラ)としての適性などについて紹介します。栽培にあたり予め知りたいことの多くが本稿にあるはずです。「育ててみようかな」と思われている方はご一読ください。

※なお本稿の文末には食用バラの召し上がり方法も記載しています。

 

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パパメイアン・品種データ

  • 分類:ハイブリッドティー(HT)
  • 樹形:ブッシュ(=木立ち性)
  • 開花サイクル:四季咲き
  • 花径:13㎝前後(春の一番花基準)・大輪
  • 樹高×横張り:直立.1.8×0.6cm
  • 黒星病の耐性:やや弱い
  • うどん粉病の耐性:弱い
  • 樹勢:普通~やや強い

[参考:バラ大図鑑修正。私の栽培実感を加味]

 

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」が咲き誇らんとするローズフェスタ所有のハウス内の様子。

今まさにパパメイアンが咲き誇らんとするローズフェスタ所有のハウス内の様子。

 

パパメイアンの特徴

パパメイアンは四季咲き性の品種で、冬期を除く春~秋に繰り返して何度も開花します

枝が長いため切り花として一部では高額で流通していたりもします。高額となるのは以下のような魅力や特徴があるからでしょう。

 

最高級の花弁(ハナビラ)の魅力

肉厚の花弁は一枚々〃がビロードのような光沢をもち、それでいてしっとりとした質感をもつ最高級の触れ心地。これら一枚々〃が組み合わさって形成されるパパメイアンの雄大な花姿はバラの高貴さを存分に味わうことができます。

たとえ崩れ落ちゆく散りぎわにあっても、肉厚の花弁がはらりと舞い散るそのさまは絵になります。“花弁ひとつの魅力”を楽しむことができるのは貴重な魅力と言えるでしょう。

 

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」の花弁。

パパメイアンの花弁。黒味を帯びた花色と肉厚な質感が伝わるだろうか。

 

花色の妙

ビロードのような光沢の中にひそむなんとも言えない深い花色もまた魅力。花色については直接下記の写真をご覧ください。

 

 

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」を拡大した開花写真。肉厚な花弁の隅々まで見ることができる。ローズフェスタ所有のハウス内にて。花田昇崇が撮影。

美しきパパメイアンの花姿。赤みが強い。一枚々〃が肉厚のため、こう見えて全体の花弁数は少ない。

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」。黒味が増した特徴的な花色の開花姿。

黒味が増した赤黒に色合い。これぞパパメイアン。屋外では黒味が写真に反映されづらいので室内で撮影。春や秋の色合いはこのような黒味が強い色合いであることが多い。

 

この花色に魅力を感じるか否か、ですね。

 

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」を拡大した開花写真。肉厚な花弁の隅々まで見ることができる。ローズフェスタ所有のハウス内にて。花田昇崇が撮影。

美しきパパメイアンの花姿。最も美しい整形花の状態。花弁の先が尖っているこれを剣弁咲きという。

 

※「剣弁」や「高芯」などのバラの花形についてはこちら。

⇒ 花びらと花のかたちで見る「花の表記」の読み歩き

 

パパメイアンの花色は高温期とそれ以外とで色合いが異なります。春や秋は黒味が入る黒バラとなりますが、真夏の高温期などには黒味が後退し赤バラになります。気温により色合いが微妙に変化する色彩の妙が見所です。

なお、花色だけで選ぶのであれば黒系の色味が混じるバラは「ブラック・バッカラ」や「黒真珠」に、兄弟品種の「オクラホマ」など他にもあります。しかし後述する香りの魅力を加味して考えると、黒系が混じる色合いがお好みであるならパパメイアンをおススメしておきます。

 

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」の開花終盤の花姿。花田昇崇が撮影。

終盤の花姿。

 

花もちは悪い

肉厚の花弁の裏返しにある関係が花もちです。花もちの悪さ。それがウィークポイントの一つです。

花弁の魅力は紹介した通りですが、品種の特性としてパパメイアンは花弁数(花弁の枚数)が少ないのです。枚数が少ないがゆえ開ききるまでの間隔が早くなり、そのため形が崩れやすいという宿命にあります。整形花のままの時間は長くありません。

自然温度下では、

  • 春と秋(気温16~23度前後) = 2~4日
  • 夏(気温25度以上) = 1日~2日(猛暑日には1日もたないことも多々ある)

が目安といったところ。これは日当たり具合などにも左右されるのであくまでも目安に過ぎませんが、要するに花もちは良くないということです。

しかし、見方を変えれば限られた少数の花弁にエネルギーが集約されているからこそ、一枚々〃の花弁が際立った高級感を持ち得ていると言うこともできます。このように思い至れば花弁数の少なさによる花もちの悪さは必ずしもウィークポイントにはならないとも思えますが皆様はいかにお感じでしょうか。

一瞬で咲き誇り一瞬で終わりを迎える様子には、我々日本人の好む美があると思えてなりません。

 

香り―「ダマスク・モダン」の代表品種

最大の観賞ポイントは香りです。7つに区分けされたバラの香り成分の一つ、「ダマスク・モダン」の代表品種として知られています。香りの銘花でもあるわけです。

バラの香りと聞いて思い浮かべる一般的なそれがダマスク香で、パパメイアンはこのダマスクの香りを強烈に放ちます

 

1.香りの楽しみ方

香りが強烈と紹介しました。しかしこの香りを最大に楽しむには切り花は適しません濃厚で強烈な香りを最大限に発揮するのは自然開花に任せた採花前の状態ですパパメイアンについては切り花にすることで香り成分は急速に失われますこの点について言及している記事や書籍は私の確認するところ存在しないのでご存知ない方が大半でしょうが、じつはそうなのです

  1. 採花前の10分咲き = 香り100%
  2. 採花後1時間経過後 = 香り70%
  3. 採花後3時間経過後 = 香り40%
  4. 採花後24時間経過後 = 香り10%未満

数字はアバウトですが、私の感覚ではこのように薄れていく印象です。24時間経つと、香りはほぼなくなります(=わからなくなります)

 

2.香りを楽しむ方法

そういうことから濃厚で強烈なこの香りを楽しむには自ら栽培するか植栽しているバラ園を訪れるかの2択になります。

1.バラを育てる楽しみに踏み入れようとされている方であれば、これを一つのキッカケに栽培を始められてみるのも良いでしょう。

※バラの選び方については バラ初心者の品種の選び方。あなたに最適なバラを探す4基準 を参考にしてくみてください。

2.「育てるのはちょっと…」という方であれば開花時期を確認してバラ園に訪れてみてはいかがでしょうか。

以下のバラ園に植栽されています。

⇒ RSKバラ園|400品種・15000株のスケール|岡山県岡山市

香りの楽しみ方は上記2つが一般的です。

 

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育てやすさ

バラを育てる上で重要な要素が耐病性です。「バラの2大病」である黒星病とうどん粉病への耐性を紹介をします。

 

耐病性

1.黒星病への耐性

黒星病(クロホシビョウ)というのは四季咲き性バラに降りかかる宿命の病害です。

残念ながらこの黒星病に強くありませんそれどころか「普通」の強さの品種よりも劣り、「やや弱い」といった印象です

※「初心者では手に負えないほど弱い」というほどではありません

春先は脅威とはなりませんが、梅雨シーズンに第1の多発期に突入し、そしてを真夏を終えた晩夏より第2の多発期に突入します。黒星病を“完全に”防ごうとすれば定期的な薬剤散布が不可欠です。薬剤を散布しない場合には、10中10、黒星病が発生します。

ただし、黒星病を放置することで“即枯れるのか”と言えばそのようなことはありません。著しい場合にはもちろん枯れることもあり得ますが、多くの場合には生長が遅れたり花が咲かないなどの残念な状態には陥るものの、株自体は緩やかながらも成長していきます必要以上に恐れず、また神経質になりすぎず“長い目でバラの成長を見守る視点”が好ましいでしょう。

 

2.うどん粉病への耐性

うどん粉病は白い粉のように見える菌が葉の表面や茎を覆い、著しい場合には細胞を壊死させる病害です。黒星病と並んでしばしば発生します。

残念ながらこのうどん粉病にも強くありません率直に言えば、こちらの耐性は「やや弱い」よりも一段階下がり、「弱い」といった印象が正直なところです。何らかの対策が必要となります。

しかし、日ごろから気にかけていれば発生初期に気づくことができます。初期段階には様々な対処法があるのでそれほど恐れるものではありません

 

樹勢

樹勢が強く、悪条件に耐えますそのため耐病性が弱くても重大すぎる欠陥とまではなりません。多少の病害の被害などものともせず、ぐんぐんと成長を続けます。

樹勢が強いため、施肥量が適切なら、1mを優に越える高さになります。地植えであれば2mさえ越えてきます。

 

とげの問題

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」のとげの紹介写真。花田昇崇が撮影。

「パパメイアン」のとげの様子。シュート中間付近には鋭利なとげがぽつぽつとある。ただし枝の先端にいくほど小さく無数のとげに変わる。

 

非常に硬くて、それでいて太く鋭いとげが無数にあります。知らず知らずのうちに小さなトゲにやられるケースよりも、見た目に太いトゲがストレートに突き刺さってくる感じで被害を受けます。

とげを好む人はなかなかいないと思われますし、とげが多いのははウィークポイントです。小さなお子様がいらっしゃるご家庭などでは少し扱いに注意が必要です。

 

栽培上のコツ

1.栽培上のコツ。1つ目

四季咲き性のバラは幾度も花を咲かせるため一般的に肥料食いですが、パパメイアンはその中でもさらに多めの施肥量が必要です野菜など他の植物なら枯れてしまいかねない量であっても大丈夫です

逆に肥料が少ないと、鉢植えの場合には花が咲きません鉢植えは肥料を多めにするのが栽培のコツです

 

2.栽培上のコツ。2つ目

前述のとおり樹勢が強い品種です。そこで注意点があります。花を切った場合に意識した方が良いのは、この枝を切る作業=剪定を深めに行うことです。

花がらを切った位置でそのままにしておけば、その位置から更に大きく伸長していきますこれを2,3度経るだけで2mを越えてきますこうならないように、花を切ったあとにはその都度枝を深く切り戻すようにしましょう

 

適する栽培方法

鉢植えでも地植えでもいずれでも構いません。

これらのうち手間暇が増えて大変なのは適宜施肥が必要となる鉢植えです。肥料をこまめに見ないと開花数が大きく減るのでその分難易度が高まります。

その点、地植えは植え付け時に施肥をしておけば良いので負担が減ります。

なお、直立に伸びていく性質ですが、枝が固く充実するのもあるのでスペースは多めにとるのが良いでしょう。株の根元を中心に、半径60㎝以上は確保しておくべきです。枝が固く充実していくため、これくらいのスペースを確保しておくのが後々後悔がなくて良いと思います。

 

育てやすさのまとめ

一言で言ってしまえば、黒星病とうどん粉病の双方に「弱い」のがパパメイアンです。

残念ながら「放置状態でもすくすくと育ち、良い花を咲かせ続ける。」と言うことはできません。そのため初心者向けの簡単なバラとは言えないでしょう

しかし耐病性の弱さは樹勢の強さが補っています。

ある程度のバラ栽培の知識があれば充分育てることが可能ですバラ栽培の知識については当五感で楽しむ薔薇の専門店広場の記事や市販の栽培本などを参照したりすることで問題なく育てることができると思います

育てやすさについてまとめると、育ててみようとする意欲さえあれば大丈夫、ということです

 

五感で楽しむ食べるバラ

花弁を生食で楽しむ

パパメイアンの花弁の味の特徴は、少し苦みがあるが肉厚な花弁は適度な歯ごたえがあり食べごたえがあります嫌なえぐみはほとんどない新鮮なほどほのかに香るのが特徴

 

<召し上がり方>

  • 花弁をそのままハチミツなどにつけて食べる。バラを食べる最もオーソドックスな召し上がり方。高揚し、優雅な気分に浸れます。
  • サラダに混ぜ込む甘めのドレッシングがパパメイアンの味と雰囲気に調和する。
  • etc.その他の利用方法は今後時おり紹介していこうと思います。

 

バラエキスを抽出して楽しむ

バラジュースの作り方>

  1. パパメイアンの花弁から水だしや熱湯などでエキスを抽出する。(抽出方法は様々ある。)色素と成分が移り、朱色に変わる。
  2. 抽出水のままでは甘味がないのでシロップや砂糖などで甘さを加える
  3. 他の色(青や黄色や白色など。)のバラ花弁があれば、これらをカットしたものでバラ氷を作っておく。
  4. ジュースと異なる色合いのバラ氷を加えて出来上がりです。

 

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」の花弁をこして抽出したバラエキス。

パパメイアン100%の抽出エキス。このままでは甘さがないので飲料に適するように甘味を足す。

 

バラかき氷の作り方>

  1. 抽出方法は同じ。
  2. 抽出水をそのまま凍らせる。
  3. あとは通常のかき氷と同じ製法でOK.

 

眼で楽しみ、鼻で楽しみ、そして舌で楽しんでいく我々ローズフェスタが提案する五感で楽しむバラのレシピの紹介でした。

なお、食べられるバラ(エディブルローズ)はパパメイアンに限られません。エディブルローズの探し方についてはこちらで紹介しました。記事を参考になさってみてください。

⇒ 対極は観賞用の花。エディブルローズ(食べられるバラ/食用バラ)の可能性を語る夢路

 

あのパパメイアンのドライフラワー

ハイブリッドティーローズ「パパメイアン」のドライフラワー写真。英字新聞上にまとめられた5束のセット。五感で楽しむ薔薇の専門店ローズフェスタオリジナル商品。同店で販売している。

パパメイアンのドライフラワー

 

黒味を増した色合いが見事だと思いませんか?パパメイアンのドライフラワーです。本来の濃厚な香りが一層と凝縮されて、まるで香水のような強さ。

五感で楽しむ薔薇の専門店 ローズフェスタ のオリジナル製品です。手芸用に、インテリアにと幅広く使えます。宜しければご利用になってみてください。

ドライフラワー/バラ・パパメイアン・5束セット/黒バラの銘花は甘く濃厚な香り(販売価格:1,620円)

 

 

本稿のまとめ

さて、いかがだったでしょうか。

よく知られた銘花「パパメイアン」の栽培実感をお届けしました。良くも悪くも典型的な“バラらしい”花です。中級者以上の方に適した品種ですが、食用としても楽しめるなど単に花を愛でること以上の楽しみをもたらしてくれる品種です。ぜひ挑戦なさってみてください。

 

なお、こちらの記事ではパパメイアンのような広い意味での赤系統のバラを紹介しています。あなたのお好みの品種がこちらでも見つかるかもしれません。

⇒ おススメの赤バラ|200種類以上の赤系統から選ぶ品種の紹介

 

本稿が皆様のより良い暮らしに役立てば幸いです。あなたもバラと一緒に暮らす生活を始めませんか?

 

写真・記事の無断掲載・転載を禁止します。

Sentence/All photos:花田昇崇

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